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君の見た世界のすべて

君の見た世界のすべてが真実とは限らない

11回目の夏休みの終わりにわたしの恋は始まりすらしない

「しまった・・・!」
少女は蒸し暑いリビングに降りてきてエアコンのスイッチを押した瞬間に思い出した。
夏休みの宿題がたくさん出ていたのを・・・。

昔から夏休みの宿題を夏休みの前半に済ませるか、夏休みの終わりに慌てて宿題を始めるというふうに、夏休みの宿題は処理されるものだ。
少女は後者のほうで、プリントだのいろいろ教師らが用意していたような・・・気がするが、ひとつも手を付けていなかったのがこの少女になります。

しかもこの少女、姫山愛華(16)は高校2年生。
これまで11年連続で夏休みの宿題を最後に残してきたことになる。

少しずつ部屋の温度や湿度が下がり始めたところで、携帯電話で友逹に電話をかけようとしたが、そういえば今週はみんな田舎に帰ったり、旅行にいくと聞いていたのを思い出した。

「しょうがない・・・」
愛華はようやく自分で宿題をしようと、快適になったリビングから出て、自分の部屋から宿題のプリントの山を持ってくる。
そういえば夏休みが終わってすぐにテストがあるとか担任が言ってたな。
嫌なことを次々思い出してしまう。

夏休みの間、愛華は何をしていたかというと、通常家でゴロゴロしたり、友だちに誘われればプールやお買い物に行ったり忙しい毎日を過ごしていたのだった。
夏休みにも行ってみんなで花火もしたし、夏の思い出がまた増えた夏休みだった。

しかし今、目の前には、かなり分厚いプリントの山がそびえ立っている。

テスト前に丸暗記は得意な愛華だが、数学とかはまた公式を思い出したり(覚えなおしたり)、古文の解読など、手を焼きそうな内容となっている。

残り10日で済ませられるだろうか。
10日連休と考えたら楽しい響きだが、どっちかというと10日しかないネガティブ要素しか材料がない。

今年の夏もこうして終わってしまうのだけれど、また今年も何も出会いも恋愛も兆しも見えないまま終わってしまう。

人がイチャイチャしているのを見ると暑苦しい事この上ないのは私だけ?

愛華は最初の一枚を記入していきながら、麦茶を飲み干した。

おかわりを注ぎに行きながら、夏と言えば第15回の俳句甲子園で地元の高校が11年ぶりに優勝したのを思い出した。*1
今まで東京の高校に優勝を許していたのと、地元の高校の優勝なので嬉しい。
まぁ、自分の通う高校ではないし、向こうのが偏差値高いけれど。

何かに打ち込んでいる姿は美しい。青春してるって感じに見えたのだった。

つまり今の私は美しい。青春している。
まぁ、打ち込んでるのは夏休みの宿題だけどもっ!

愛華はプリントの字が間違っているのに気づいて消しゴムで消しだした。

まだまだプリントの山は終わりそうにない。
11回目の女の子の夏休みにしては、甘酸っぱい展開もない、そんな夏の終わり。

*1:俳句甲子園 地元松山東が優勝 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120819/k10014383102000.html

高校生が俳句の日本一を競う「俳句甲子園」が俳人・正岡子規のふるさと、松山市で開かれ、地元の松山東高校が11年ぶりに優勝しました。 「俳句甲子園」は、語呂合わせで「俳句の日」とされる8月19日の前後に、松山市で毎年開かれていて、ことしは全国の30の高校から36チームが参加しました。19日は、18日の予選で勝ち上がった地元松山市の松山東高校と、3年連続の優勝をねらう東京の開成高校による決勝が行われました。決勝の兼題は「日」で、それぞれのチームは「母の日」「落日」などのことばを取り入れた5つの句を順番に詠み、5・7・5の17文字に込めた思いを語りながら、相手チームの句をユーモアを交えて批評しました。序盤から松山東高校が優位に進め、4句目に平和への思いを込めたという「背景のなき向日葵(ひまわり)や爆心地」を披露して勝負を決め、11年ぶり2回目の優勝を果たしました。松山東高校3年生のキャプテン、伊藤聡美さんは「自分たちの句、ことばがどれだけ熱いものか伝えられました。先輩を始め、たくさんの人の応援で優勝できました」と喜びを語りました。